しさに楢《なら》や雜木《ざふき》の枝《えだ》で欺《あざむ》いた手段《しゆだん》が發見《はつけん》されないのである。うしろめたい女《をんな》は默《だま》つて何《なに》よりも先《ま》づ空《から》な手桶《てをけ》を持《も》つて井戸端《ゐどばた》へ驅《か》けて行《い》つてはざあと水《みづ》を汲《く》んでそれから汁《しる》の身《み》でも切《き》れてなければ慌《あわたゞ》しくとん/\と庖丁《はうちやう》の響《ひゞき》を立《た》てゝ、少《すこ》しづゝでも母《はゝ》なるものゝ小言《こごと》から遁《のが》れようとする。狹《せま》い庭《には》の垣根《かきね》に黄色《きいろ》な蝶《てふ》が幾《いく》つも止《とま》つて頻《しき》りに羽《はね》を動《うご》かして居《ゐ》るやうに一つ/\にひらり/\と開《ひら》いては夜目《よめ》にもほつかりと匂《にほ》うて居《ゐ》る月見草《つきみさう》は自分等《じぶんら》の夜《よる》が來《き》たと、駈《か》け歩《ある》いて居《ゐ》る女《をんな》に對《たい》して懷《なつか》し相《さう》に目《め》を※[#「目+爭」、第3水準1−88−85]《みは》るのである。彼等《かれら》の或《ある
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