矛盾《むじゆん》した羞耻《しうち》の念《ねん》に制《せい》せられて燃《も》えるやうな心情《しんじやう》から竊《ひそか》に果敢《はか》ない目《め》の光《ひかり》を主《しゆ》として夜《よ》に向《むか》つて注《そゝ》ぐのである。
 夜《よ》は彼等《かれら》の世界《せかい》である。
 熟練《じゆくれん》な漁師《れふし》は大洋《たいやう》の波《なみ》に任《まか》せて舷《こべり》から繩《なは》に繼《つ》いだ壺《つぼ》を沈《しづ》める。其《そ》の繩《なは》を探《さぐ》つて沈《しづ》めた赤《あか》い土燒《どやき》の壺《つぼ》が再《ふたゝ》び舷《こべり》に引《ひ》きつけられる時《とき》、其處《そこ》には凝然《ぢつ》として蛸《たこ》が足《あし》の疣《いぼ》を以《もつ》て内側《うちがは》に吸《す》ひついて居《ゐ》る。恁《か》うして漁師《れふし》は烱眼《けいがん》を以《もつ》て獲物《えもの》を過《あやま》たぬ道《みち》を波《なみ》の間《あひだ》に窮《きは》めて居《ゐ》るのである。僅《わづか》な村落《むら》の内《うち》で毎日《まいにち》凡《すべ》ての目《め》に熟《じゆく》して居《ゐ》る女《をんな》の所在《ありか
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