靜《へいせい》である。村落《むら》の空氣《くうき》が平靜《へいせい》である如《ごと》く、勘次《かんじ》と他《た》の凡《すべ》てとの間《あひだ》も極《きは》めて平靜《へいせい》でそれで相《あひ》容《いれ》ないのである。勘次《かんじ》は其《そ》の菜種油《なたねあぶら》のやうに櫟林《くぬぎばやし》と相《あひ》接《せつ》しつゝ村落《むら》の西端《せいたん》に僻在《へきざい》して親子《おやこ》三|人《にん》が只《たゞ》凝結《ぎようけつ》したやうな状態《じやうたい》を保《たも》つて落付《おちつい》て居《ゐ》るのである。
 偶然《ぐうぜん》に起《おこ》つた彼《かれ》の破廉耻《はれんち》な行爲《かうゐ》が俄《にはか》に村落《むら》の耳目《じもく》を聳動《しようどう》しても、兎《と》にも角《かく》にも一|家《か》を處理《しより》して行《ゆ》かねばならぬ凡《すべ》ての者《もの》は、彼等《かれら》に共通《きようつう》な聞《き》きたがり知《し》りたがる性情《せいじやう》に驅《か》られつゝも、寧《むし》ろ地味《ぢみ》で移氣《うつりぎ》な心《こゝろ》が際限《さいげん》もなく一《ひと》つを逐《お》ふには年齡《ねんれ
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