ばし》で落葉《おちば》を掻《か》き立《た》てながらいつた。
「夜明《よあけ》にひどく冷々《ひや/\》したつけかんな」お品《しな》はいつて一寸《ちよつと》首《くび》を擡《もた》げながら
「俺《お》ら今朝《けさ》はたべたかねえかんな、汝《われ》構《かま》あねえで出來《でき》たらたべた方《はう》がえゝぞ」お品《しな》はいつた。又《また》氷《こほ》つた飯《めし》で雜炊《ざふすゐ》が煮《に》られた。
「おつかあ、ちつとでもやらねえか」おつぎは茶碗《ちやわん》をお袋《ふくろ》の枕元《まくらもと》へ出《だ》した。雜炊《ざふすゐ》の焦《こ》げついたやうな臭《にほ》ひがぷんと鼻《はな》を衝《つ》いた時《とき》お品《しな》は箸《はし》を執《と》つて見《み》ようかと思《おも》つて俯伏《うつぶ》しになつて見《み》たが、直《すぐ》に壓《いや》になつて畢《しま》つた。お品《しな》が動《うご》いたので懷《ふところ》の與吉《よきち》は泣《な》き出《だ》した。お品《しな》は俯伏《うつぶ》した儘《まゝ》乳房《ちぶさ》を含《ふく》ませた。さうして又《また》芋《いも》の串《くし》を拵《こしら》へて持《も》たせた。
お品《し
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