《じぶん》の餓鬼《がき》の錢《ぜに》せえ騙《だま》して叩《はた》くんだから」
「盲目《めくら》といふのはどうしたんだねそれは」
「野田《のだ》へ醤油屋奉公《しやうゆやばうこう》に行《い》つてゝ餘《あんま》り飯《めし》食《く》ひ過《す》ぎたの原因《もと》で眼《め》へ出《で》たなんていふんですが、廿位《はたちぐれえ》で潰《つぶ》れつちやつたんでさ、さうしたらそれ打棄《うつちや》つて夜遁《よに》げ見《み》てえせまるで、自分《じぶん》の村落《むら》にだつて居《ゐ》らんなく成《な》つたんでがすから」
「さういふことがねえ、能《よ》く出來《でき》たもんだね、自分《じぶん》の本當《ほんたう》の子《こ》をねえまあ、おつたは酷《ひど》いといふことは聞《き》いちや居《ゐ》たがねえ」内儀《かみ》さんは驚《おどろ》いた容子《ようす》でいつた。
「そんだがお内儀《かみ》さん其《その》盲目《めぐら》奇態《きたえ》で、麥搗《むぎつき》でも米搗《こめつき》でも畑耕《はたけうねえ》でも何《なん》でも百姓仕事《ひやくしやうしごと》は行《や》んでさ、薄《うす》ら明《あか》りにや見《め》えんだなんていふんだがそんでも奇態《き
前へ
次へ
全956ページ中334ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
長塚 節 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング