と聞《き》いた。
「お内儀《かみ》さんいふ通《とほり》にしあんしたよ」
「其《そ》の蜀黍《もろこし》は何處《どこ》へ遣《や》つたい」
「わたしやどうしてえゝか知《し》んねえから川《かは》へ持《も》つて行《い》つて打棄《うつちや》りあんした」
「さうかい、能《よ》く行《や》つて來《き》たね、まあ上《あが》りな」内儀《かみ》さんはランプを自分《じぶん》の頭《あたま》の上《うへ》に上《あ》げて凝然《ぢつ》と首《くび》を低《ひく》くしておつぎの容子《ようす》を見《み》た。
「どうしたんだえ、おつぎはまあ、其《そ》の衣物《きもの》は」
「本當《ほんたう》にまあ」おつぎは始《はじ》めて心付《こゝろづ》いたやうで
「先刻《さつき》土手《どて》さ行《え》く時《とき》、堀《ほり》つ子《こ》ん處《とこ》へ辷《すべ》つたんですが、其《そ》ん時《とき》かうえに汚《よご》したんでせうよ」とおつぎは泥《どろ》に成《な》つた腰《こし》のあたりへ手《て》を當《あ》てた。
「お内儀《かみ》さん、わたしや飛《と》んだことを仕《し》あんした」おつぎは又《また》いつた。
「どうしたんだえ」
「わたしや、鎌《かま》何處《どこ》
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