事《しごと》をするがいい、後《のち》にわしが申報書《しんぱうしよ》を拵《こしら》へて來《き》て遣《や》るから、それへ印形《いんぎやう》を捺《お》せばそれで手續《てつゞき》は濟《す》むんだからな」巡査《じゆんさ》はさういつてさうして被害者《ひがいしや》が
「そんぢや、わし蜀黍《もろこし》隱《かく》して置《お》く處《とこ》見出《めつけ》あんすから、屹度《きつと》有《あ》んに極《きま》つてんだから」といふ聲《こゑ》を後《あと》にして畑《はたけ》の小徑《こみち》をうねりつゝ行《い》つた。
「今度《こんだ》こさあ、捕縛《つかま》つちや一杯《いつぺえ》に引《ひ》つ喰《く》らあんだんべ」畑同士《はたけどうし》は痛快《つうくわい》に感《かん》じつゝ口々《くち/″\》に恁《か》ういふことをいつた。
「おつう俺《お》らとつても今度《こんだあ》駄目《だめ》だよ」勘次《かんじ》は果敢《はか》ない自分《じぶん》の心持《こゝろもち》を唯《ゆゐ》一の家族《かぞく》であるおつぎの身體《からだ》へ投《な》げ掛《か》けるやうに萎《しを》れ切《き》つていつた。勘次《かんじ》は衷心《ちうしん》から恐怖《きようふ》したのである
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