は百姓《ひやくしやう》は大抵《たいてい》控《ひか》へ目《め》にして出《で》なかつた。
勘次《かんじ》は黄昏《たそがれ》近《ちか》くなつてから獨《ひとり》で草刈籠《くさかりかご》を背負《せお》つて出《で》た。彼《かれ》は何時《いつ》もの道《みち》へは出《で》ないで後《うしろ》の田圃《たんぼ》から林《はやし》へ、それから遠《とほ》く迂廻《うくわい》して畑地《はたち》へ出《で》た。日《ひ》はまだほんのりと明《あか》るかつたので勘次《かんじ》はそつちこつちと空《から》な草刈籠《くさかりかご》を背負《せお》つた儘《まゝ》歩《ある》いた。彼《かれ》は其《そ》れでも良心《りやうしん》の苛責《かしやく》に對《たい》して編笠《あみがさ》で其《そ》の顏《かほ》を隔《へだ》てた。日《ひ》がとつぷりと暮《く》れた時《とき》彼《かれ》は道端《みちばた》へ草刈籠《くさかりかご》を卸《おろ》した。其處《そこ》には畑《はたけ》の周圍《まはり》に一畝《ひとうね》づつに作《つく》つた蜀黍《もろこし》が丈《たけ》高《たか》く突《つ》つ立《た》つて居《ゐ》る。草刈籠《くさかりかご》がすつと地上《ちじやう》にこける時《とき》
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