植《う》ゑた。それから庭《には》の栗《くり》の木《き》へも絡《から》ませた。茄子《なす》だけは遠《とほ》い畑《はたけ》の麥《むぎ》の畦間《うねま》へ植《う》ゑた。彼《かれ》は甘藷《さつまいも》の外《ほか》には到底《たうてい》さういふ凡《すべ》ての苗《なへ》を仕立《した》てることが出來《でき》ないので、又《また》立派《りつぱ》な苗《なへ》を買《か》ひに行《ゆ》く丈《だけ》の餘裕《よゆう》もないので、容子《ようす》から見《み》れば近村《きんそん》ではあるが何處《どこ》とも確乎《しか》とは知《し》れない天秤商人《てんびんあきうど》からそれを求《もと》めた。天秤商人《てんびんあきうど》の持《も》つて來《く》るのは大抵《たいてい》屑《くづ》ばかりである。それでも勘次《かんじ》は廉《やす》いのを悦《よろこ》んだ。彼《かれ》は其《そ》の僅《わづか》な錢《ぜに》を幾度《いくたび》か勘定《かんぢやう》して渡《わた》した。
 麥《むぎ》が刈《か》られて其《そ》の束《たば》が兩端《りやうはし》を切《き》つ殺《そ》いだ竹《たけ》の棒《ぼう》へ透《とほ》して畑《はたけ》の外《そと》へ擔《かつ》ぎ出《だ》された時
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