一寸《ちよつと》見《み》る度《たび》に大《おほ》きな菅笠《すげがさ》がぐるりと動《うご》く。菅笠《すげがさ》は日《ひ》を避《さ》けるのみではなく女《をんな》の爲《ため》には風情《ふぜい》ある飾《かざり》である。髮《かみ》には白《しろ》い手拭《てぬぐひ》を被《かぶ》つて笠《かさ》の竹骨《たけぼね》が其《そ》の髮《かみ》を抑《おさ》へる時《とき》に其處《そこ》には小《ちひ》さな比較的《ひかくてき》厚《あつ》い蒲團《ふとん》が置《お》かれてある。さういふ間隔《かんかく》を保《たも》つて菅笠《すげがさ》は前屈《まへかゞ》みに高《たか》く据《す》ゑられるのである。女等《をんなら》は皆《みな》少時《しばし》の休憩時間《きうけいじかん》にも汗《あせ》を拭《ぬぐ》ふには笠《かさ》をとつて地上《ちじやう》に置《お》く。一《ひと》つには紐《ひも》の汚《よご》れるのを厭《いと》うて屹度《きつと》倒《さかさ》にして裏《うら》を見《み》せるのである。さうして厚《あつ》い笠蒲團《かさぶとん》の赤《あか》い切《きれ》が丸《まる》く白《しろ》い笠《かさ》の中央《まんなか》に黒《くろ》い絎紐《くけひも》と調和《てうわ》
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