《な》つた。それでも筍《たけのこ》の皮《かは》が竹《たけ》の幹《みき》に纏《まつは》つては横《よこ》たはつて居《ゐ》るやうに、與吉《よきち》がおつぎを懷《なつか》しがることに變《かは》りはなかつた。
與吉《よきち》は近所《きんじよ》の子供《こども》と能《よ》く田圃《たんぼ》へ出《で》た。暖《あたゝ》かい日《ひ》には彼《かれ》は單衣《ひとへ》に換《かへ》て、袂《たもと》を後《うしろ》でぎつと縛《しば》つたり尻《しり》をぐるつと端折《はしよ》つたりして貰《もら》ふ間《ま》も待遠《まちどほ》で跳《は》ねて居《ゐ》る。
「堀《ほり》の側《そば》へは行《え》ぐんぢやねえぞ、衣物《きもの》汚《よご》すと聽《き》かねえぞ」おつぎがいふのを耳《みゝ》へも入《い》れないで小笊《こざる》を手《て》にして走《はし》つて行《ゆ》く。田圃《たんぼ》の榛《はん》の木《き》はだらけた花《はな》が落《お》ちて嫩葉《わかば》にはまだ少《すこ》し暇《ひま》があるので手持《てもち》なさ相《さう》に立《た》つて居《ゐ》る季節《きせつ》である。田《た》は僅《わづか》に濕《うるほ》ひを含《ふく》んで足《あし》の底《そこ》に暖味
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