すつて煙草《たばこ》へ火《ひ》を移《うつ》しては燃《も》えさしを手《て》ランプへ點《つ》けて
「おつかあが見《め》えんだかも知《し》んねえ、さうら明《あか》るく成《な》つた。汝《わ》りや※[#「姉」の正字、「女+※[#第3水準1−85−57]のつくり」、69−12]《ねえ》に抱《だ》かさつてんだ。可怖《おつかねえ》ことあるもんか」卯平《うへい》は重《おも》い調子《てうし》でいふのである。與吉《よきち》は壁《かべ》の何處《どこ》ともなく見《み》ては火《ひ》の附《つ》いたやうに身《み》を慄《ふる》はして泣《な》いて犇《ひし》とおつぎへ抱《だ》きつく。おつぎは與吉《よきち》を膝《ひざ》へ抱《だ》いて泣《な》き止《や》むまでは兩手《りやうて》で掩《おほ》うて居《ゐ》る。それが泣《な》き出《だ》したら毎夜《まいよ》のやうなのでおつぎは、玉砂糖《たまざたう》を蒲團《ふとん》の下《した》へ入《い》れて置《お》いて泣《な》く時《とき》には甞《な》めさせた。それでも泣《な》き募《つの》つた時《とき》は口《くち》へ入《い》れた砂糖《さたう》を吐《は》き出《だ》しては愈《いよ/\》烈《はげ》しく泣《な》くの
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