《とほ》く放《はな》たない。彼等《かれら》は到底《たうてい》其《そ》の土《つち》に苦《くる》しみ通《とほ》さねばならぬ運命《うんめい》を持《も》つて居《ゐ》るのである。
勘次《かんじ》はお品《しな》の葬式《さうしき》が濟《す》むと直《すぐ》に新《あたら》しい俵《たはら》へ入《い》れた小作米《こさくまい》を地主《ぢぬし》へ運《はこ》んで行《ゆ》かねば成《な》らぬとそれが心《こゝろ》を苦《くる》しめて居《ゐ》た。然《しか》し其《そ》の時《とき》は其《そ》の新《あたら》しい俵《たはら》の一つは輪《わ》に成《な》つた繩《なは》から拔《ぬ》けて、米《こめ》は叩《たゝ》いても幾《いく》らも出《で》なかつた。勘次《かんじ》は次《つぎ》の年《とし》には殆《ほとん》ど自分《じぶん》一人《ひとり》の手《て》で農事《のうじ》を勵《はげ》まなくてはならぬ。例年《れいねん》のやうに忙《いそが》しい季節《きせつ》に日傭《ひよう》に行《ゆ》くことも出來《でき》まいし、それにはお袋《ふくろ》に捨《す》てられた二人《ふたり》の子供《こども》も有《あ》ることだし、今《いま》から穀《こく》の用意《ようい》もしなくては成《
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