うに死體《したい》の下《した》から荒繩《あらなは》を廻《まは》して置《お》いて首筋《くびすぢ》の處《ところ》でぎつしりと括《くゝ》ることである。麁末《そまつ》な松板《まついた》で拵《こしら》へた出來合《できあひ》の棺桶《くわんをけ》はみり/\と鳴《な》つた。恁《か》ういふ無残《むざん》な扱《あつかひ》はどうしても他人《たにん》の手《て》に任《まか》せられねばならなかつた。板《いた》の儘《まゝ》ばら/\に成《な》つて居《ゐ》る棺臺《くわんだい》は買《か》つて來《き》てから近所《きんじよ》の手《て》で釘付《くぎづけ》にされた。其處《そこ》には淺《あさ》い箱《はこ》の倒《さかさ》にしたものが出來《でき》た。其《そ》の棺臺《くわんだい》の上《うへ》には死體《したい》を入《い》れた棺桶《くわんをけ》が載《の》せられた。
 勘次《かんじ》は其《その》朝《あさ》未明《みめい》にそつと家《いへ》の後《うしろ》の楢《なら》の木《き》の間《あひだ》を田《た》の端《はし》へおりて境木《さかひぎ》の牛胡頽子《うしぐみ》の傍《そば》を注意《ちうい》して見《み》た。唐鍬《たうぐは》か何《なに》かで動《うご》かした
前へ 次へ
全956ページ中103ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
長塚 節 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング