そりと酷《ひど》い窶《やつ》れやうをして居《ゐ》た。卯平《うへい》は只《たゞ》ぽつさりとしてそれを見《み》て居《ゐ》た。死體《したい》は復《また》其《そ》の穢《きたな》い夜具《やぐ》へ横《よこた》へられた。盥《たらひ》の汚《けが》れた微温湯《ぬるまゆ》は簀《す》の子《こ》の上《うへ》から土《つち》に注《そゝ》がれた。さうして其《そ》の沾《ぬ》れた簀《す》の子《こ》には捲《ま》くつた筵《むしろ》が又《また》敷《し》かれた。朝《あさ》から雨戸《あまど》は開《あ》け放《はな》たれて歩《ある》けばぎし/\と鳴《な》る簀《す》の子《こ》の上《うへ》の筵《むしろ》は草箒《くさばうき》で掃《は》かれた。さうして東隣《ひがしどなり》から借《か》りて來《き》た蓙《ござ》が五六|枚《まい》敷《し》かれた。それから土地《とち》の習慣《しふくわん》で勘次《かんじ》は淨《きよ》めてやつたお品《しな》の死體《したい》は一|切《さい》を近所《きんじよ》の手《て》に任《まか》せた。
近所《きんじよ》の女房等《にようばうら》は一|反《たん》の晒木綿《さらしもめん》を半分《はんぶん》切《きつ》てそれで形《かた》ばかりの
前へ
次へ
全956ページ中101ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
長塚 節 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング