と》からの人目《ひとめ》を雨戸《あまど》に避《さ》けて其《そ》の唯一《ゆゐいつ》の娯樂《ごらく》とされてある寶引《はうびき》をしようといふのであつた。疊《たゝみ》には八|本《ほん》の紺《こん》の寶引絲《はうびきいと》がざらりと投《な》げ出《だ》された。彼等《かれら》はそれを絲《いと》と喚《よ》んで居《ゐ》るけれども、機《はた》を織《お》つて切《き》り放《はな》した最後《さいご》の絲《いと》の端《はし》を繩《なは》のやうに綯《な》つた綱《つな》である。婆《ばあ》さん等《ら》は圓《まる》い座《ざ》を作《つく》つて銘々《めい/\》の前《まへ》へ二|錢《せん》づつの錢《ぜに》を置《お》いた。親《おや》に成《な》つた一人《ひとり》が八|本《ほん》の綱《つな》の本《もと》を掴《つか》んで一|度《ど》ぎつと指《ゆび》へ絡《から》んでばらりと投《な》げ出《だ》すと、悉皆《みんな》が一《ひと》つづゝ掴《つか》んで此《こ》れも其《そ》の端《はし》を指《ゆび》へぎりつと絡《から》んで一|度《ど》に引《ひ》くと七|本《ほん》の綱《つな》が空《むな》しくすつとこける。只《たゞ》一|本《ぽん》の綱《つな》の臀《しり》には彼等《かれら》のいふ「どツぺ」が附《つ》いて居《ゐ》てそれがどさりと疊《たゝみ》を打《う》つて一人《ひとり》の手《て》もとへ引《ひ》かれる。どつぺは一|厘錢《りんせん》を三|寸《ずん》ばかりの厚《あつ》さに穴《あな》を透《とほ》してぎつと括《くゝ》つた錘《おもり》である。一|厘錢《りんせん》は黄銅《くわうどう》の地色《ぢいろ》がぴか/\と光《ひか》るまで摩擦《まさつ》されてあつた。どつぺを引《ひ》いたのが更《さら》に親《おや》になつて一|度《ど》毎《ごと》にどつぺは解《と》いて他《た》の綱《つな》へつける。さうすると婆《ばあ》さん等《ら》は思案《しあん》しつゝ然《しか》も速《すみや》かに綱《つな》の一《ひと》つを抓《つま》んでは放《はな》したり又《また》抓《つま》んだり極《きは》めて忙《いそが》しげに其《そ》の手《て》を動《うご》かす。彼等《かれら》は丁度《ちやうど》※[#「鬥<亀」、第3水準1−94−30]《くじ》を引《ひ》くやうに屹度《きつと》一《ひと》つは當《あた》る筈《はず》のどつぺを悉皆《みんな》が心《こゝろ》あてに掴《つか》んで引《ひ》くのである。一|度《ど》毎《ご
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