ち》を落《おと》したりして泣《な》く聲《こゑ》が相《あひ》交《まじ》つた。彼等《かれら》は庭《には》へおりてから徐《おもむ》ろに其《そ》の紙《かみ》を開《ひら》いて小豆飯《あづきめし》を手《て》で抓《つま》んで喫《た》べた。紙《かみ》にくつゝいた小豆飯《あづきめし》を彼等《かれら》は齒《は》で噛《かじ》るやうにしてとつた。破《やぶ》れた紙《かみ》を棄《す》てゝ菱餅《ひしもち》を懷《ふところ》へ入《い》れるものもあつた。庭《には》にはそつちにもこつちにも棄《す》てられた紙《かみ》が白《しろ》く亂《みだ》れて散《ち》らばつて居《ゐ》た。
 老人等《としよりら》は圍爐裏《ゐろり》に絶《た》えず薪《たきぎ》を燻《く》べながら酒《さけ》を沸《わか》し始《はじ》めた。村落《むら》のどの家《うち》からか今日《けふ》も念佛衆《ねんぶつしう》へというて供《そな》へられた二|升樽《しようだる》を圍爐裏《ゐろり》の側《そば》へ引《ひ》きつけて、臀《しり》の煤《すゝ》けた土瓶《どびん》へごぼ/\と注《つ》いで自在鍵《じざいかぎ》へ掛《か》けた。外《そと》が餘《あま》りに寒《さむ》いからといふので念佛《ねんぶつ》が濟《す》んでから誰《たれ》かゞ雨戸《あまど》を二三|枚《まい》引《ひ》いたので寮《れう》の内《うち》は薄闇《うすぐら》くなつて居《ゐ》た。佛壇《ぶつだん》の前《まへ》には婆《ばあ》さんが三四|人《にん》でひそ/″\と額《ひたひ》を鳩《あつ》めて居《ゐ》る。
「此《こ》の婆奴等《ばゝあめら》、そつちの方《はう》で偸嘴《ぬすみぐひ》してねえで、佳味《うめ》え物《もの》有《あ》つたら此方《こつち》へ持《も》つて來《こ》う」先刻《さつき》の首《くび》へ珠數《じゆず》を卷《ま》いた小柄《こがら》な爺《ぢい》さんが呶鳴《どな》つた。
「盜《ぬす》んだつち譯《わけ》ぢやねえが、蓋《ふた》とつて見《み》た處《ところ》なんだよ」さういつて婆《ばあ》さん等《ら》は風呂敷《ふろしき》の四隅《よすみ》を掴《つか》んで圍爐裏《ゐろり》の側《そば》へ持《も》つて來《き》た。飯《めし》つぎには干瓢《かんぺう》を帶《おび》にした稻荷鮨《いなりずし》が少《すこ》し白《しろ》い腹《はら》を見《み》せてそつくりと積《つ》まれてあつた。鮨《すし》は少《すこ》し減《へ》つて居《ゐ》た。
「獨《ひとり》でせしめちやえかねえか
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