》つたばかしならつる/\して足《あし》引《ひ》つ掛《かゝ》んねえもんだが雨《あめ》は降《ふ》んねえし、そんなこたねえ筈《はず》なんだが、攫《つかま》つてた枝《えだ》ん處《とこ》に蛇《へび》居《ゐ》たとかつて慌《あわ》くつておりべと思《おも》つたつちんだから、いつでもはあ枝《えだ》なんざがさがさやつて天邊《てつぺん》の方《はう》で呶鳴《どな》つたりなにつかしてたんだつけが、かさあつちのが酷《ひど》く變《へん》な音《おと》だと思《おも》つて見《み》る内《うち》にや落《おつこち》んな早《は》えゝもんで、困《こま》つたこと出來《でき》たのせ」百姓《ひやくしやう》は乘地《のりぢ》になつていひ續《つゞ》けた。勘次《かんじ》は恐怖《きようふ》の目《め》を※[#「目+爭」、第3水準1−88−85]《みは》つて耳《みゝ》を傾《かたむ》けた。
「※[#「柿」の正字、第3水準1−85−57]《かき》の木《き》さ蛇《へび》があがるやうぢや雨《あめ》でもまた降《ふ》らなけりやえゝが、百姓《ひやくしやう》にや大事《でえじ》な處《ところ》なんだからまあ、ちつと續《つゞ》けさせてえもんだが」側《そば》から又《また》一人《ひとり》の怪我人《けがにん》が口《くち》を添《そ》へた。勘次《かんじ》は又《また》其《そ》の噺《はなし》を聞《き》きながら定《さだ》まりない天候《てんこう》の變化《へんくわ》を案《あん》じた。
軈《やが》て近所《きんじよ》の壯者《わかもの》が來《き》て以前《いぜん》の如《ごと》く怪我人《けがにん》を懷《だ》いた。醫者《いしや》は先刻《さつき》のやうにして怪我《けが》人の恐怖《きようふ》した顏《かほ》を見《み》ながら口《くち》を締《し》めてぎつと其《そ》の手《て》を曳《ひ》いた。怪我人《けがにん》の手《て》はぼぎつと恐《おそ》ろしい音《おと》を立《たて》た。怪我人《けがにん》は只《たゞ》泣《な》き號《さけ》んだ。
「よし/\癒《なほ》つちやつた」醫者《いしや》は手《て》を放《はな》つて、太《ふと》い軟《やは》らか相《さう》な指《ゆび》の腹《はら》で暫《しばら》く揉《も》むやうにしてそれから藥《くすり》を塗《ぬ》つた紙《かみ》を一|杯《ぱい》に貼《は》つて燭奴《つけぎ》のやうな薄《うす》い木《き》の板《いた》を當《あ》てゝぐるりと繃帶《ほうたい》を施《ほどこ》した。
「どのつ位《くれ
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