《お》くべと思《おも》つたんだな」
「俺《お》ら何《なに》も不服《ふふく》いふ席《せき》はねえな」勘次《かんじ》は少《すこ》し安心《あんしん》したらしく、恁《か》う輕《かる》くいひ退《の》けた。
「そんだらえゝがなよ、彼《あ》れもはあ廿七に成《なる》んだから俺《お》らもこんでまあ心配《しんぺえ》はしてたんだが、自分《じぶん》でもそれ無《ね》え足《た》んねえの心配《しんぺえ》が絶《た》えねえもんだから、思《おも》つちや居《ゐ》ても手《て》が出《で》ねえのよ、自分《じぶん》の餓鬼《がき》のことおめえ全然《まるつきり》どうなつても管《かま》あねえたあ思《おも》へねえよこんで」勘次《かんじ》は足《あし》の先《さき》で土間《どま》の土《つち》を擦《こす》りながら默《だま》つておつたのいふのを聞《き》いた。
「彼《あれ》もそれ中途《ちうと》で盲目《めくら》に成《な》つたんだから、それまでに働《はたら》いて身體《からだ》は成熟《でき》てるしおめえも知《し》つてる通《とほ》りあんで居《ゐ》て仕事《しごと》も出來《でき》るしするもんだから、難有《ありがて》えことに不具《かたわ》でも嫁《よめ》世話《せわ》すべつちいものもあるやうな譯《わけ》さなあ、何《なん》でも人間《にんげん》は働《はたら》き次第《しでえ》だよ、おめえだつて働《はたら》くんでばかり他人《ひと》にや好《よ》く云《ゆ》はれてべえぢやねえけえ、そんで俺《お》れも其《そ》の女《をんな》は見《み》たが、女《をんな》はそれ惡《わ》りいがな、そんだつて盲目《めくら》だもの目鼻立《めはなだち》見《み》べえぢやなし、心底《しんてえ》せえよけりやえゝと思《おも》つてな」おつたは頻《しき》りに勘次《かんじ》の衷心《ちうしん》からの同意《どうい》を得《え》ようとした。
「そりやよかんべなそんぢや」勘次《かんじ》は只《たゞ》簡單《かんたん》にさういつた。
「そんで娵《よめ》持《も》たせるにしても折角《せつかく》こつちに居《ゐ》て働《はたら》いてんだから俺《お》ら自分《じぶん》の處《とこ》へは連《つ》れて行《ゆ》く譯《わけ》にや行《い》かねえと思《おも》つてな何《なん》ちつてもそれ、知《しつ》てつ處《とこ》でなくつちや盲目《めくら》だから面倒《めんだう》見《み》てくれるつち人《ひと》もあんめえしなあ、それから俺《お》ら其處《そこ》んとこも心配《し
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