べつ/\》に成《な》つちやつたな、つまんねえ、餘計《よけい》な錢《ぜね》なんぞ遣《つか》つて、俺《お》らだつて大《えけ》えこと手間《てま》打《ぶ》つこんだな、なあに俺《お》ら爺樣《ぢいさま》せえちつと其《その》積《つもり》で行《や》つて呉《く》れせえすりや、幾《いく》らでも面倒《めんだう》見《み》るつちつてんだが、如何《どう》いふ料簡《れうけん》のもんだか俺《お》らがにや分《わか》んねえが」
「そんぢや、此《こ》の側《そば》な小屋《こや》ぢやあんめえ、俺《お》ら先刻《さつき》見《み》た時《とき》や肥料小屋《こやしごや》だとばかし思《おも》つてたな、本當《ほんと》にかうだ處《とこ》へ醉狂《すゐきやう》な噺《はなし》よな、なんでも世《よ》を渡《わた》しちや誰《たれ》でも同《おな》じこと相續人《さうぞくにん》の氣味《きあぢ》惡《わる》くしねえ樣《やう》にやんなくつちや畢《を》へねえよ、そんだがそれも性分《しやうぶん》でなあ、他《ほか》からぢやしやうねえものよ」
「俺《お》らだつてこんで一人《ひとり》殖《ふ》えちや殖《ふ》えた丈《だけ》に麥米《むぎこめ》の心配《しんぺえ》からして掛《かゝ》んなくつちやなんねえんだから、其《そ》の積《つもり》で居《ゐ》てくんなくつちや、此《こ》んで心持《こゝろもち》ぢや餘《あんま》り面白《おもしろ》かねえかんな、毎日《まいにち》苦蟲《にがむし》喰《く》つ潰《ちや》したやうな面《つら》つきばかしされたんぢや厭《や》んなつちまあぞ、本當《ほんたう》に」
「そりやさうにも何《なん》にもよ、他人《たにん》でせえこんで軟《やつ》けえ言辭《ことば》でも掛《か》けられつと、後《あと》ぢや欲《ほ》しく成《な》るやうな物《もの》でも出《だ》す料簡《れうけん》にもなるもんだかんなあ」おつたは斯《か》ういひながら先刻《さつき》から※[#「奚+隹」、第3水準1−93−66]《とり》の塒《とや》の下《した》に在《あ》る二|俵《へう》の俵《たわら》へ目《め》を注《そゝ》いで居《ゐ》た。
「そんだがおめえもたえした働《はたら》きだと見《め》えんな、かうえに俵《たわら》までちやんとして、大概《てえげえ》な百姓《ひやくしやう》ぢやおめえ此《この》手《て》にや行《い》かねえぞ、俺《お》ら世辭《つや》いふわけぢやねえが」
 勘次《かんじ》は漸《やうや》く噺《はなし》に吊《つ》り込
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