よ》くまあかういに作《つく》つたつけな、俺《お》らもはあ、好《す》きは好《す》きだが自分《じぶん》ぢやそつちだこつちだで作《つく》れねえもんだ、此《こ》れまあ朝《あさ》つぱら凉《すゞ》しい内《うち》に見《み》たらどら程《ほど》えゝこつたかよ」おつたは濕《しめ》つた手拭《てぬぐひ》を幾《いく》つかに折《を》つて手《て》に攫《つか》んだ儘《まゝ》、栗《くり》の木《き》の側《そば》に置《お》いた洋傘《かうもり》を窄《つぼ》めてゆつくりと家《うち》へ這入《はひ》つた。おつぎは茶《ちや》を沸《わか》す火《ひ》の爲《ため》に汗《あせ》が更《さら》に湧《わ》いたのを手拭《てぬぐひ》でふいて、それから亂《みだ》れた髮《かみ》に櫛《くし》を入《いれ》て更《さら》に丁寧《ていねい》に手拭《てぬぐひ》を被《かぶ》つてさうしておつたを喚《よ》んだのであつた。おつたは何處《どこ》か落付《おちつ》かぬ容子《ようす》で洋傘《かうもり》も外《そと》の壁際《かべぎは》に立《た》て掛《かけ》て閾《しきゐ》を跨《また》いだ。
「お暑《あつ》うござんすねどうも」おつぎは襷《たすき》をとつて時儀《じぎ》を述《の》べながらおつたへ茶《ちや》を侑《すゝ》めた。三|人《にん》は暫《しばら》く沈默《ちんもく》して居《ゐ》た。
東隣《ひがしどなり》の庭《には》からは大勢《おほぜい》が揃《そろ》つて連枷《ふるぢ》で麥《むぎ》を打《う》つて居《ゐ》る響《ひゞき》が、森《もり》を透《とほ》して夫《それ》からどろり/\と地《ち》を搖《ゆす》つて聞《きこ》えた。自分等《じぶんら》が立《た》てる響《ひゞき》に誘《さそ》はれて騷《さわ》ぐ彼等《かれら》の極《きま》つた囃《はやし》の聲《こゑ》が「ほうい/\」と一人《ひとり》の口《くち》からさうして段々《だん/\》と各自《めいめい》の口《くち》から一|齊《せい》に迸《ほとばし》つて愉快相《ゆくわいさう》に聞《きこ》えた。三|人《にん》の耳《みゝ》は同《おな》じく誘《さそ》はれた樣《やう》に一|種《しゆ》の調子《てうし》を持《も》つた隣《となり》の庭《には》の響《ひゞき》に耳《みゝ》を傾《かたむ》けつゝ沈默《ちんもく》の時間《じかん》を繼續《けいぞく》した。おつたは茶柱《ちやばしら》の立《た》つた茶碗《ちやわん》の中《なか》を見《み》てそれから一寸《ちよつと》嫣然《につこり》として見
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