みやげ》が買《か》ひたく成《な》つたのである。煎餅《せんべい》の袋《ふくろ》は毎日《まいにち》使《つか》つて居《ゐ》た手拭《てぬぐひ》で括《くゝ》つて荷締《にじ》めの紐《ひも》へ縛《しば》りつけた。彼《かれ》は冬《ふゆ》になつてまた起《おこ》りかけた僂痲質斯《レウマチス》を恐《おそ》れて極《きは》めてそろ/\と歩《ほ》を運《はこ》んだ。利根川《とねがは》を渡《わた》つてからは枯木《かれき》の林《はやし》は索寞《さくばく》として連續《れんぞく》しつゝ彼《かれ》を呑《の》んだ。彼《かれ》は處々《ところ/″\》へのつそりと腰《こし》を卸《おろ》して好《す》きな煙草《たばこ》をふかした。荷物《にもつ》を路傍《みちばた》へ卸《おろ》す時《とき》彼《かれ》は屹度《きつと》縛《しば》りつけた手拭《てぬぐひ》の包《つゝみ》へ手《て》を掛《か》けて新聞紙《しんぶんし》の袋《ふくろ》のがさ/\と鳴《な》るのを聞《き》いて安心《あんしん》した。枯木《かれき》の林《はやし》は立《た》ち騰《のぼ》る煙草《たばこ》の煙《けぶり》が根《ね》の切《き》れた儘《まゝ》すつと急《いそ》いで枝《えだ》に絡《から》んで消散《せうさん》するのも隱《かく》さずに空洞《からり》として居《ゐ》る。卯平《うへい》が凝然《ぢつ》として居《ゐ》ると萵雀《あをじ》が忍《しの》び/\に乾《かわ》いた落葉《おちば》を踏《ふ》んで彼《かれ》の近《ちか》くまで來《き》てはすいと枝《えだ》へ飛《と》んだ。彼《かれ》は周圍《しうゐ》には一|切《さい》心《こゝろ》を惹《ひ》かされることもなく袂《たもと》の燐寸《マツチ》へ火《ひ》を點《つ》けては又《また》燐寸《マツチ》を袂《たもと》へ入《いれ》て、さうしてからげつそりと落《お》ちた兩頬《りやうほゝ》の肉《にく》が更《さら》にぴつちりと齒齦《はぐき》に吸《すひ》ついて畢《しま》ふまで徐《ゆる》りと煙草《たばこ》を吸《す》うて、煙管《きせる》をすつと拔《ぬ》いてから又《また》齒齦《はぐき》へ空氣《くうき》を吸《す》うて煙《けぶり》と一つに飮《の》んで畢《しま》つたかと思《おも》ふやうにごくりと唾《つば》を嚥《の》んで、それから煙《けぶり》を吐《は》き出《だ》すのである。彼《かれ》は周圍《しうゐ》が寂《さび》しいとも何《なん》とも思《おも》はなかつた。然《しか》し彼自身《かれじしん》は見《み
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