を幾杯《いくはい》も傾《かたむ》けるのである。當日《たうじつ》からでは數日前《すうじつぜん》に當番《たうばん》の者《もの》が村落中《むらぢう》を歩《ある》いて二|合《がふ》づゝでも三|合《がふ》づゝでも白米《はくまい》を貰《もら》つて、夜《よ》になれば當番《たうばん》の者等《ものら》は集《あつま》つた白米《はくまい》で晩餐《ばんさん》の飯《めし》を十|分《ぶん》に焚《た》いて其《その》他《た》は悉《ことごと》く甘酒《あまざけ》に造《つく》り込《こ》む。甘酒《あまざけ》は時間《じかん》が短《みじか》いのと麹《かうぢ》が少《すくな》いのとで熱《あつ》い湯《ゆ》で造《つく》り込《こ》むのが例《れい》である。それだから忽《たちま》ちに甘《あま》く成《な》るけれども亦《また》忽《たちま》ちに酸味《さんみ》を帶《お》びて來《く》る。彼等《かれら》は當日《たうじつ》の前夜《ぜんや》に口見《くちみ》だといつて近隣《きんりん》の者等《ものら》が寄《よ》つてたかつて、鍋《なべ》で幾杯《いくはい》となく沸《わか》しては飮《の》むので夥《したゝ》か減《へ》らして畢《しま》つて、それへ一|杯《ぱい》に水《みづ》を注《さ》して置《お》くのである。
 子供等《こどもら》の間《あひだ》に交《まじ》つて與吉《よきち》も互《たがひ》の身體《からだ》を掻《か》き分《わ》ける樣《やう》にして飮《の》んだ。村落《むら》の者《もの》が飮《の》んでる後《うしろ》から木陰《こかげ》に佇《たゝず》んで居《ゐ》た乞食《こじき》がぞろ/\と來《き》て曲物《まげもの》の小鉢《こばち》を出《だ》して要求《えうきう》した。
「よき、それえゝ加減《かげん》にするもんだよ汝《わ》りや」おつぎはまだ茶碗《ちやわん》を放《はな》さない與吉《よきち》の手《て》を曳《ひ》いた。
「待《ま》つてろ汝《わ》ツ等《ら》、さうだにさはり出《で》ねえで、小穢《こぎたね》え」
「此奴等《こねやつら》、汝《わ》ツ等《ら》げ呉《く》れはぐつたこた有《あ》りやしねえ、それにさうだに騷《さわ》ぎやがつて、五月繩《うるせ》え奴等《やつら》だ待《ま》つてるもんだ」
「そうれお前等《めえら》注《つ》えで遣《や》んのにそんな小鉢《こばち》なんぞ桶《をけ》の上《うへ》さ突出《つんだ》させちや畢《を》へねえな、それだらだら垂《た》ツらあ、柄杓《ひしやく》そつちへおん出
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