《つく》つてあるのを知《し》れば竊《ひそか》に瓜《うり》や西瓜《すゐくわ》を盗《ぬす》んで路傍《みちばた》の草《くさ》の中《なか》に打《う》ち割《わ》つた皮《かは》を投《な》げ棄《す》てゝ行《ゆ》くのである。彼等《かれら》の間《あひだ》に惡戯《いたづら》の好《す》きな五六|人《にん》が夜《よ》が深《ふ》けてからそつと勘次《かんじ》の庭《には》へ立《た》つて見《み》た。其《そ》の時《とき》は只《たゞ》自分等《じぶんら》の陰翳《かげ》が稍《やゝ》長《なが》く庭《には》の土《つち》に映《えい》じて、月《つき》は隙間《すきま》だらけの古《ふる》ぼけた雨戸《あまど》をほのかに白《しろ》く見《み》せて居《ゐ》た。周圍《しうゐ》は泣《な》き止《や》んだ後《あと》のやうに餘《あま》りに寂《さび》しかつた。五六|人《にん》は只《たゞ》ぽつさりと歸《かへ》つて畢《しま》つた。
おつぎは次《つき》の朝《あさ》櫛《くし》を探《さが》しに出《で》た。同《おな》じ年輩《ねんぱい》の間《あひだ》には誰《たれ》の惡戯《いたづら》であるかが其《そ》の場《ば》で凡《すべ》ての耳《みゝ》に知《し》れ渡《わた》つて居《ゐ》た。
「櫛《くし》なんざ持《も》つてゐねえぞはあ、それよりやあ、歸《けえ》つて※[#「柿」の正字、第3水準1−85−57]《かき》の木《き》のざく股《また》でも見《み》た方《はう》がえゝと」朋輩《ほうばい》の一人《ひとり》がおつぎへいつた。おつぎは自分《じぶん》の庭《には》の※[#「柿」の正字、第3水準1−85−57]木《かきのき》の幹《みき》が二|股《また》に成《な》つた處《ところ》に櫛《くし》がそつと載《の》せてあるのを發見《はつけん》した。櫛《くし》は鼈甲模擬《べつかふまがひ》のゴムの櫛《くし》であつた。齒《は》が二|枚《まい》ばかり缺《か》けて居《ゐ》た。おつぎは損所《そんしよ》を凝然《ぢつ》と見《み》て直《すぐ》に髮《かみ》へ※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]《さ》した。
櫛《くし》の事件《じけん》は其《そ》れつ切《きり》で畢《をは》つた。勘次《かんじ》は何《なに》かにつけてはおつう/\と懷《なつ》かしげに喚《よ》んで一|家《か》は人《ひと》の目《め》に立《た》つ程《ほど》極《きは》めて睦《むつ》ましかつた。然《しか》しかういふ事件《じ
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