炭燒のむすめ
長塚節
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)低い樅《もみ》の木に
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一|畝《うね》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]る積りで
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)態々《わざ/\》
−−
一
低い樅《もみ》の木に藤の花が垂れてる所から小徑を降りる。炭燒小屋がすぐ眞下に見える。狹い谷底一杯になつて見える。あたりは朗かである。トーントーンといふ音が遙に谷から響き渡つて聞える。谷底へついて見ると紐のちぎれさうな脚袢《きやはん》を穿いた若者が炭竈《すみがま》の側で樫《かし》の大きな榾《ほた》へ楔《くさび》を打ち込んで割つて居るのであつた。お秋さんが背負子《しよひこ》といふもので榾を背負つて涸《か》れた谷の窪みを降りて來た。拇指《おやゆび》を肋《あばら》の所で背負帶に挾んで兩肘を張つてうつむきながらそろそろ
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