の槭《もみぢ》は青き秋風に清瀧川の瀬をさむみかも

[#ここから6字下げ]
二日、大津より彦根に渡る
[#ここで字下げ終わり]

葦の邊の※[#「魚+入」、第3水準1−94−32]《いり》[#底本のルビ「いり」は「えり」か?]おもしろき近江の湖鴨うく秋になりにけるかも

[#ここから6字下げ]
※[#「魚+入」、第3水準1−94−32]は水中に竹簀をたて圍みたるをいふ、魚とるためなり彦根城廓内
[#ここで字下げ終わり]

鵯の晴を鳴く樹のさや/\に葛も薄も秋の風吹く

[#ここから6字下げ]
天主閣にのぼる
[#ここで字下げ終わり]

名を知らぬ末枯草の穗に茂き甍のうへに秋の虫鳴く

[#ここから6字下げ]
夕、彦根を去らむとして湖水をのぞむ
[#ここで字下げ終わり]

比良の山ながらふ雲に落つる日の夕かゞやきに葦の花白し

[#ここから6字下げ]
三日、伊勢に入る
[#ここで字下げ終わり]

宮路ゆく伊勢の白子は竹簾古りにしやどの秋蕎麥の花

[#ここから6字下げ]
一身田村途上
[#ここで字下げ終わり]

鵲豆《ふぢまめ》を曳く人遠く村雀稻の穗ふみて芋の葉に飛ぶ

[#ここから6字
前へ 次へ
全83ページ中55ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
長塚 節 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング