るころゆ夕されば筑波の山のむらさきに見ゆ
夕さればむらさき匂ふ筑波嶺のしづくの田居に雁鳴き渡る
蜀黍の穗ぬれに見ゆる筑波嶺ゆ棚引き渡る秋の白雲
稻の穗のしづくの田居の夜空には筑波嶺越えて天の川ながる
筑波嶺に降りおける雪は陽炎の夕さりくればむらさきに見ゆ
まつがさ集(二)
[#ここから6字下げ]
梧桐の梢おもしろく見えたれば
[#ここで字下げ終わり]
青桐のむらなる莢のさや/\に照れるこよひの月の涼しさ
[#ここから6字下げ]
また庭のうちに榧の樹あり、過ぎしころは夜ごとに梟の鳴きつときけば
[#ここで字下げ終わり]
ふくろふの宵々なきし榧の樹のうつろもさやに照る月夜かも
[#ここから6字下げ]
おなじく庭のうちなる樟の木の葉のきら/\とかゞやきたるを主の女の刀自のいとうつくしきものと稱ふれば我が刀自にかはりてよみける
[#ここで字下げ終わり]
秋の夜の月夜の照れば樟の木のしげき諸葉に黄金かゞやく
[#ここから6字下げ]
一日小雨、庭上に梅の落葉せるを見てよめる歌四首
[#ここで字下げ終わり]
秋風のはつかに吹けばいちはやく梅の落葉はあさにけに散る
前へ
次へ
全73ページ中57ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
長塚 節 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング