を望みて詠ずる歌并反歌
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十握稻ふさ刈る鎌の。燒鎌の利根の大川。川岐に八十洲を包む。五百枝槻千葉の大野の。ならび居の雙生が丘に。たゞ向ふ筑波の山は。登り立ち見れど宜しみ。下り居立ち見れど宜しみ。よろしみとよろぼひ立てる。くはし山見が欲し山の。筑波嶺吾は。
反歌
千葉の野ゆ筑波を見れば肩長の足長山と霞田菜引く
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成田の梅林を見る
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下埴生の成田の佛をろがむと梅咲く春に逢ひにけるかも
み佛にまゐ來る人の世《よ》心に見てを行くべき梅の花これ
梓弓春にしあれば梅の花時よろしみと咲きにけるかも
錨綱五百尋杉に包まへる梅の林は見れど飽かぬかも
全枝に未だ咲かねど梅の花散らくを見れば久しくあるらし
梅の花疾きと遲きと時はあれど咲きのさかりの木ぬれしよしも
梓弓梅咲く春に逢ひしかばおもしろくして去なまく惜しも
まだき咲く梅の林に鶯の年の稚みかいかくろひ鳴く
鶯は五百杉村を木深みと未だも馴れず時稚みかも
梅の花疾きも遲きも春風の和《なご》吹く息の觸るらくと否と
息長の春風吹けば列貫ける秀枝の珠し
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