ぬ念へば。あやにたふとき。
うきす
五月雨のいやしきふれば。うらさびてさぶしき沼の。水くまりの水の門のへより。榜ぎさかりあし原ゆけば。へにしづき沖になづさふ。にほどりの水くさ咋ひ持ち。かきあつめむすぶうき栖《す》の。風吹けば風にゆられ。波立てば波にゆられて。しまらくも安からなくに。そこにして卵子《かひこ》は生りぬ。あはれその栖を。
水に住むものにあるから鳰どりの水草が中にその栖つくらく
別莊
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大洗の岬なる水戸侯の別莊を見てよめる
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ころも手の常陸のくには。おほうみにたゞに向へば。みがほしきいづこはあれど。大汝少彦名の。いしづまる神の三埼は。いそみれど沖べを見れど。ならびなきはしきみさきと。玉かづらたゆることなく。あともひて人もつぎ來れ。こゝにしもいほりし居らば。命も長くあらむと。大宮に仕ふる公か。あきつかみ吾大王の。年のはにいとまたまへば。うからをこゝにつどひて。立居て見れどよろしみ。ころふして見れどよろしみ。日も足らずそこに念はし。年のごとありけるものを。行水のゆきて去にしと。まが言か人の云へるに。をと年も去
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