芋掘り
長塚節
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)外《はづ》され
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一|房《ぼう》も
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)殘※[#「日+熏」、第3水準1−85−42]が
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)ぽつ/\と
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
−−
一
小春の日光は岡の畑一杯に射しかけて居る。岡は田と櫟林と鬼怒川の土手とで圍まれて他の一方は村から村へ通ふ街道へおりる。田は岡に添うて狹く連つて居る。田甫を越して竹藪交りの村の林が田に添うて延びて居る。竹藪の間から草家がぽつ/\と隱見する。箒草を中途から伐り放したやうに枝を擴げた欅の木がそこにもこゝにもすく/\と突つ立つて居る。田にはもう掛稻は稀で稻を掛けた竹の「オダ」がまだ外《はづ》されずに立つて居る。「オダ」には黄昏に鴫でも來て止る位のことだらう、見るから淋しげである。鬼怒川の土手に
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