しろ、私を破滅させるために発せられた運命のことばだ、と言いたいくらいであった。教授が話をつづけているうちに、私は、自分の魂が、手ごたえのある敵と格闘しているのを感じた。すると、自分の存在機構をなしているいろいろな鍵が一つ一つ手でいじられ、絃が一本一本鳴らされ、やがて一つの思想、一つの観念、一つの目的で自分の心がいっぱいになった。してきたことはこれだけなのだな――よし、と、私フランケンシュタインの魂が叫んだ――もっと、もっと多くのことを私はやりあげるぞ。すでに目じるしのついているとおりに歩いていって、新しい道の先駆者となり、未知の力を探究し、創造のもっとも深い秘奥を白日のもとにあばいてやるぞ。
 その夜私は、まんじりともしなかった。内部の存在が動乱状態になってしまって、そこから秩序が生れるものとおもったが、私にはそれをつくりだす力がなかった。夜が明けてからしだいに眠くなってきた。眼をさましてみると、昨夜の考えは夢のようだった。そこには、自分の古い研究に戻り、私自身が生れつき才能をもっていると信じている科学に身を捧げよう、という決意だけが残った。同じ日に私は、ヴァルトマン氏を訪ねた。この人
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