にしっかりしなさい。この氷は、君たちの不抜の心と同じような材料でできているわけでなく、君たちさえその気になれば、どうにでも変るものだし、君たちに逆らうことができないものですよ。額に不名誉の烙印を捺して家族たちの所に帰ってはいけません。戦って征服した英雄、敵に背を見せることを知らぬ英雄として帰るべきです。」
 フランケンシュタインは、けだかい意向と英雄主義とにみちたまなざしで、その話に現われたいろいろな表情にたいへんぴったりした声を出しながら、こう話しましたので、水夫たちが感動したのも怪しむに足りません。連中はたがいに眼を見合せて、なんとも答えることができませんでした。そこで、僕が口を出して、ひとまず引き取って、いま言われたことを考えてみたまえ、みんながあくまで反対するなら、僕はもっと北へ進むとはいわないが、考えてみたうえでみんなの勇気がまた出てくるのを望んでいる、と話しました。
 水夫たちが引き取ったので、友人のほうを向きましたが、友人はぐったりとなって、ほとんど死んだもののようでした。
 これがどういうふうにおちつくか、僕にはわかりませんが、恥を忍んで、目的を遂げずに帰るくらいなら、
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