それはおもに、自分が敵と交した会話に生命と活気を与えるためであった。そして言った、「私の話を保存なさるからには、まちがったものを後世に伝えたくはありませんからね。」
こうして、想像もつかぬ奇怪な物語を聞いているうちに、一週間ほど経ちました。僕の考えること、またすべて魂に感じることは、この客人に対する興味に吸い取られてしまいましたが、それは、この話と、この人のもっている高められたやさしい態度から来たものでした。慰めてやりたいとはおもいますが、このようにどこまでも悲惨で、どんなことをしても慰められそうもない人に、いくら勧告したところで、生きるようにさせることができるでしょうか。どうしてどうして! この人がいま知ることのできるたった一つの喜びといえば、その打ち砕かれた精神が死の平和へとおちつく時なのでしょう。けれども、この人は、孤独と精神錯乱から出てくる一つの楽しみを味わってもいるのです。夢のなかで親しい者と話をつづけ、そういう交りによって自分の不幸を慰められたり、復仇の念をかきたてられたりすると、それは、自分の幻想から生れたものでなく、幽界からはるばると自分を訪ねて来た人たちだと思いこむ
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