、やつが脅迫を実行に移すことが邪魔されたのだろうと推測しはじめたが、そのとき、とつぜん、耳をつんざく怖ろしい悲鳴が聞えた。それはエリザベートが寝ていた部屋からだった。こんな状態はほんのちょっとで終り、悲鳴がまた起ったので、私はその部屋に跳びこんだ。
なんということだ! どうしてあのとき私は、死んでしまわなかったのだろう! この世で私の最上の望みであったこのうえもない純潔な人の死を、どうしてここでお話しするようなことになったのだろう。エリザベートは、死体となって、寝台の上に投げ出され、頭ががっくりと垂れさがり、蒼ざめて歪んだ顔が髪の毛になかば蔽われていた。どちらを向いても私には、あの同じ姿が見える――今は花嫁の棺架となった寝台の上に、殺害者の手で投げ出された、血の気のない腕やだらりと伸びた姿が。私はこれを見てしかも生きていられたのだろうか。哀しいかな、生命は執拗なもので、いくら嫌われてもその嫌われるところにかじりつくのだ。記憶がとぎれるのは、ほんのひとときだけであっだ。私は気が遠くなって倒れるのを感じた。
気がついてみると、宿屋の人々がまわりに集まっていて、その顔は息もつまりそうな恐
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