とはできそうもなかった。エリザベートは、静かな満足をもって私たちの結婚を待ちうけてはいたものの、過去の災難に刻みつけられた多少の危倶がまじっていないでもなかった。つまり、今は確実明白な幸福と見えるものも、まもなくはかない夢となって消え失せ、深刻な、はてしない悲歎をしかあとにのこさないのではないか、という心配があるのであった。
式の準備が整えられ、お祝いの客の訪問を受けて、みんながにこにこしていた。私は、自分を悩ます不安を、できるだけ胸に閉じこめ、それが自分の悲劇の飾りとしてしかやくだたないにしても、とにかく熱心に見えるようにして父の計画に従った。父の尽力によって、エリザベートの相続財産の一部が、オーストリア政府から返され、コモ湖畔の小さな所有地がエリザベートのものになった。私たちは、結婚の直後に、ヴィラ・ラヴェンザに行って、その近くにある美しい湖のほとりで私たちの幸福な最初の日々を過ごすということに相談を決めた。
そのあいだ私は、例の悪魔が公然と私を攻撃したばあいに身か護ろうと、あらゆる予防手段を講じた。拳銃と短剱をたえず身につけ、策略にかからぬようにいつも気をつけていたので、その
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