ことができず、万感こもごも胸に迫ってたださめざめと泣くのであった。
 熱病が治ってからはずっと、毎晩、ごく少量の阿片丁幾を用いる習慣がついていた。命を持ちこたえるために必要な休息を取るには、この薬にたよるほかはなかったからだ。さまざまな不運の想い出に打ちのめされると、こんどはいつもの倍の量をのんで、そのおかげでまもなくぐっすりと眠った。しかし、眠っても、もの思いやみじめさからのがれてくつろぐことができず、夢のなかにさえ私をおびえさせるものが無数に出てくるしまつであった。明けがたには、夢魔のようなものにうなされ、魔物に頸を締められるような気がしても、それを振りきることができず、呻き声と叫び声が耳にひびいた。私を見守っていた父は、私が寝苦しそうにしているのを見て、私を起した。しかし、ぶつかって砕ける浪がまわりにあり、曇った空が上にあるばかりで、例の魔ものはここにいなかったので、とにかくひとつの安心感、すなわち、現在のこのときと、のっぴきならぬ惨澹たる将来とのあいだに休戦が成り立った、という気もちが、一種の穏かな忘却を与えてくれた。人間の心は、別して忘却には陥りやすくできているのだ。


 
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