済したいと熱心に考えてはいたものの、殺人者の苦悩とみじめなうわごとのそばに居たくはなかったのだ。だから、カーウィン氏は、おりおり、私がなおざりになっていやしないかどうかを見に来たが、来るとすぐ帰ったし、来るのも、ごく稀れであった。
 ある日、私がおいおいに恢復してきたころ、私は、眼がなかげ開き、頬が死人のように蒼ざめたままで、椅子にかけていた。私はたびたび、陰欝と不幸にひしがれ、自分にとって悲惨なことばかりの世の中に生きながらえることを望むよりは、いっそ死んだほうがよい、と考えた。一時は、自分はきのどくなジュスチーヌに比べると罪がなくはないのだから[#「ないのだから」は底本では「ないのかだら」]、有罪だと名のり、法の裁きを受けるべきかどうかということも考えた。こんなことを思っていると、看房の扉が開いてカーウィン氏が入って来た。氏は、顔に同情と憐憫を表わし、私のそばの椅子を引き寄せて、フランス語で話しかけた、――
「こういう所が君に打撃を与えやしないかとおもって心配でね。何かもっと気もちよくしてあげられることがありませんか。」
「ありがとうございます。しかし、おっしゃってくださることは、
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