れは恐れないし、力があるからな。おれは、毒牙で咬んでやるために、蛇の狡猾さでもって見守ってやる。やい、ひどい目にあって後悔するな。」
「畜生め、黙れ。そんな悪意のこもった声で空気を毒さないでくれ。僕は僕の決意を言いきったし、おどし文句に屈するほど臆病でもないぞ。出て行け。言ったってむだだ。」
「よろしい。行くよ。しかし、おぼえてろ、おまえの結婚の夜には行くからな。」
私は身をのりだして叫んだ、「悪党め! 僕の死刑執行命令書に署名する前に、自分が安全でいるかどうか確かめろ。」
私はつかまえようとしたが、怪物は身をかわして、まっしぐらに家を飛び出した。それから二、三分経つと、そいつが小舟に乗っているのが見えたが、その舟は矢のような速さで海をよこぎり、やがて波のあいだに見えなくなった。
すべてがまた静かになったが、怪物のことばは耳のなかでひびいていた。私は怒りに燃え、私の平和を台なしにしたやつを追いかけて、海にたたきこんでしまいたかった。私は、気がせき、心みだれて、部屋じゅうをあちこち歩きまわったが、そうしているあいだにも、自分を苦しめ痛める想像を数かぎりもなく想い描いた。どうしてあい
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