びて絵のようだが、街々もたいてい壮麗であり、すてきな緑の牧地を通って市のそばを流れるアイシス河は、木々の間に抱かれた塔、尖塔、円屋根などの集まりを映す渺茫とした水鏡をひろげている。
私にこういう光景を見てこの楽しんだが、楽しみは、過去を憶い出しても、また未来を予想しても、にがにがしいものになった。私は穏かな幸福を享けて暮らせるはずであった。今より若いころは不満の起ったためしはなかったし、また、私がいつも倦怠《アンニュイ》に襲われたとしても、自然のなかの美しいものを眺めたり、人間の制作のなかの優れにもの、卓越したものを見たりすると、つねに自分の心に興味が起り、精神に弾力が与えられたものだった。しかし、今に、私は枯木であった。電戟が私の魂を打ったのだ。そのとき、私は、自分が生きながらえるとすれば、ほかの人たちに対してはなさけない、自分自身に対してはがまんのできない、難破した人のみじめな姿――まもなくそうであることをやめるだろうような――をさらすことになるにちがいない、という気がした。
私たちはかなり長くオクスフォードで過ごし、その郊外を散策して、イギリスの歴史のもっとも生彩に富んだ時期
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