となく、あの魔物が私のあとを追って来て、家族たちがそいつの悪だくみの危険をまぬがれるという気がしてならなかった。
私が故国を離れたのは、九月の下旬であった。この旅は自分が言い出し、したがってエリザベートが賛成してくれたものであったが、エリザベートは、私が自分と別れるのがつらくて、不幸と悲歎に暮れていると考えて気を揉んだ。クレルヴァルを私の伴れにするようにしたのは、エリザベートの注意であった――それなのに男は、女の周到な注意を必要とする無数のこまかい事情には盲なものだ。エリザベートは、私に早く帰ってと言いたいのであったが、――万感こもごも胸に迫ってものが言えなくなり、黙って涙ながらの別れを告げるのだった。
私に自分を乗せて行く馬車に身を投じたが、どこへ行くのかも知らなかったし、あたりに何が起きているかにも気をつけなかった。ただ、いっしょに持っていくように、化学器具を荷造りしてくれと命じたことはおぼえているが、そのことを考えると、やりきれない苦悩を感じた。わびしい想像をめぐらしながら、私は多くの美しい雄大な光景を通り過ぎたが、眼はじっとすわっていても何も見ていなかった。私にはただ、この
前へ
次へ
全393ページ中262ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
シェリー メアリー・ウォルストンクラフト の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング