私は言った、「おまえは害をしないと誓っているが、僕が疑うのがあたりまえなくらいの悪意を、もう見せたじゃないか。この誓いだって、仕返しの幅をもっと拡げて、おまえの勝利を大きくするための偽りじゃないのかね。」
「どうしてそんなことになるんだろう? なぶってはいけませんよ。わたしは答えが聞きたいんだ。もしもわたしに対して、義理も愛情も感じられないとしたら、憎悪と悪徳がわたしの運命となるほかはありませんよ。ほかの者の愛があれば、わたしの犯罪の原因がなくなって、わたしは誰も知らない存在となるわけです。わたしの悪徳は、わたしの嫌いな、無理に押しつけられた孤独の結果ですから、似たもの同志で暮らすとなれば、当然、わたしにも美徳が生れてきます。わたしは、心ある者の愛情を感じ、いまわたしが閉め出されている存在や出来事の聯鎖のなかに結びつくことになるでしょう。」
私はしばらく黙ったまま、怪物の話したことや、そこで用いられたいろいろな論法を、よく考えてみた。生存のはじめに当って示したような美徳のみこみがあることや、ド・ラセー家の人たちがこの怪物に向って表わした嫌悪や軽蔑のために、あらゆるやさしい気もちが
前へ
次へ
全393ページ中250ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
シェリー メアリー・ウォルストンクラフト の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング