にして棄て去ったことを考えると、怒りが、激烈な怒りが戻ってきて、人間のものを何ひとつ傷つけることがてきなかったので、この憤ろしさを無生物に向けた。夜おそくなってから家のまわりにいろいろな燃えやすいものを集め、菜園のわざわざ作ったらしいものを残らずめちゃめちゃにしてから、逸る心を抑えて、月が沈むまで事を始めるのを待った。
「夜が更けてくるにつれて、森のほうから強い風がおこり、空に低迷していた雲をたちまち吹きはらった。その強風が大雪崩のように押しまくり、わたしの魂のなかで狂乱状態となって、理性や反省のあらゆる束縛を破ってしまった。わたしは一本の乾いた木の枝に火をつけ、おとなしくしている家のまわりを荒々しく踊り狂ったが、眼はただ、月の下端がまさに触れようとしている西の地平線を見つめたままだった。月の円の一端がついに隠れると、わたしは燃える木の枝を振りまわし、月がすっかり沈んだのを見すまし、大きな叫び声をあげて、集めておいた藁やヒースの木や灌木に火をつけた。風が火を煽り、家はたちまち焔に包まれた。焔は家にまといつき、叉になった破滅の舌でそれを舐めるのだった。
「いくら加勢して消しとめようとして
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