るかを決する瞬間であった。それにはっきり答えられるだけの確乎としたものをつかもうとして、わたしは、むなしくもがいたが、この努力に、残っている力が根こそぎ引きぬかれ、椅子に半身をのめらせながら、声を出してむせび泣いた。その瞬間、若い人たちの足音が聞えた。一秒だってもうぐずぐずしてはおれなかったが、それでも老人の手を掴んでわたしは叫んだ、『その時が来ました!――わたしを助けで保護してください! あなたとあなたの御家族が、わたしの求めている方々なのです。せっぱつまったこの時こそ、わたしを見棄てないでください!』
「『なんということだ! あなたは誰です?』と老人は叫んだ。
「そのとき家の戸が開いて、フェリクスとサフィーとアガータが入って来た。わたしか見たときのこの人たちの恐怖と驚愕を、誰が形容することができよう。アガータは気絶し、サフィーはそれを助け起すこともできずに家の外へ跳び出した。フェリクスは突進して来て、老人の膝にすがりついていたわたしを、人間わざとおもえない力で引き離し、怒りにまかせてわたしを地面にたたきつけ、棒でわたしを烈しく殴りつけた。獅子が羚羊《かもしか》を引き裂くように、あい
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