つ喜び、莫大な報酬をさしあげると約束して、自分を救い出そうとする者の熱心さを煽り立てようとした。フェリクスはこの申し出を軽蔑して斥けたが、そのとき、父親のところに来るのを許された美しいサフィーが、身ぶりでもって感謝の念を強く表わしたのを見て、若いフェリクスは、この囚人は自分のほねおりと危険に十分に報いるだけの宝をもっていると、心中ひそかに思わないわけにいかなかった。
「トルコ人は、自分の娘がフェリクスの心に与えた印象にいち早く気づいて、自分がすぐ安全な場所に伴れていかれたら、娘と結婚していただいてもよろしいと約束して、フェリクスの心をもっと確実につかもうとした。フェリクスは潔癖だったので、この申し出を受けなかったが、それでも、自分の幸福が完成するのはこの出来事によってであるかもしれないという気がした。
「それから数日かかって、この商人の脱出の準備が進んでいるうちに、フェリクスの熱心さは、あの美しい娘から受け取った数通の手紙のために強められた。娘は、父の家僕でフランス語を解する老人の助けを得て、自分の考えを恋人の国のことばで表わす手段を見つけたのであった。娘は、たいへん熱のこもったことば
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