憤り、歓び、驚きなどいろいろの感情が、起ったが、しかしそれは、このわたしの保護者たち(わたしは、無邪気な、半分は苦しい自己偽瞞から、この人たちをそう称するのを好んだので)に対する愛情と尊敬をいや増すだけのことであった。
14[#「14」に傍点] 家の人たちの身の上
この人たちの身の上ばなしを知ったのは、しばらく経ってからのことだった。それは、わたしの心に深い感銘を与えずにおかない話で、数々の事情をさながらにくりひろげたが、わたしのような、まったくの世間知らずには、どれもこれもおもしろく、びっくりするようなことてあった。
「老人の名は、ド・ラセーといった。フランスの名門の出で、多年その国で裕福に暮らし、目上の者には尊敬され、同輩には愛された。息子は国務に服するように教育され、アガータは最上流の貴婦人と同列にあった。わたしがここに着く数箇月前までは、この人たちはパリと呼ぶ豪奢な大都会に住んでいて、友人たちに取り巻かれ、相当の資産をもち、美徳や洗煉された知力や趣味などをもってあらゆる歓楽を味わっていたのだ。
「サフィーの父親が、この人たちの破滅の原因であった。この父親とい
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