迫った飢餓の徴候はなくなった。あとでわかったことだが、食べものは粗末ではあったが、健康にはよかったし、足りなくなるようなことはなかった。いくつか新しい種類の植物が菜園に芽ばえると、それを調理した。こういう安楽のしるしは、季節が深まるにつれて日ごとにふえていった。
「老人は、雨が降らないときは、毎日、正午に、息子によりかかって散歩した。天から水が降りそそぐとき、それが雨と呼ばれることは、わたしにもわかった。雨はたびたび降ったが、強い風がたちまち地面を乾かし、季節はますます快適になってきた。
「小屋のなかでのわたしの暮らしぶりは、変りがなかった。朝のうちは家の人たちの動静に注目し、みんながそれぞれにいろいろな仕事に就くと、わたしは眠り、それから後はまた、家の人たちを観察して過ごした。みんなが寝床に引っこんでしまうと、月が出ているか、星明りがあるかすれば、森へ入りこんで、自分の食べものと家へ持って帰る燃料を集めた。戻ってくると、その必要があるたびに、道路の雪を払ったり、フェリクスがやるのを見ておぼえた仕事をしたりした。眼に見えない手がやってくれたそういうほねおり仕事を見て、この人たちがたいへ
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