力をもっていた。晴れわたった空や青々とした野原が私をすっかり恍惚とさせた。この季節はじつにこの世のものと思えないくらいで、春の花が生垣に咲きこぼれ、一方で夏の花がもう蕾をつけていた。前の年、なんとかして投げ棄てようと努力したにもかかわらず、どうにもならぬ重荷として私を抑えつけていた考えには、悩まされなかった。
 アンリは、私が愉快にしているのを悦び、心から私の気もちに同感して、自分の魂を充たす感情を表わしながら、私を楽しませようと尽力してくれた。こういうばあいにおけるアンリの心の豊かさは、じつに驚くべきであって、その会話は想像力に充ち、しきりにペルシアやアラビアの著述家たちをまねて、すばらしい空想と情熱の物語を創作した。そうかとおもうと、私の好きな詩を暗誦したり、すこぶる巧妙に自分の主張する議論に私を捲きこんだりもするのだった。
 ある日曜日の午後に大学に帰ったが、ちょうど百姓たちが踊っているところで、私たちの出会った人はみな楽しく幸福そうに見えた。私自身も元気いっぱいで、抑えきれない歓びと上機嫌の感情をもって踊りまわった。


     7 暴風雨のなかで


 帰ってみると、父から
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