言はれる、ロバート・オーエンの実現しやうとしたところも、主農的共同生活であつた。
かうした思想の傾向はずん/\延びて来て、イギリスで言へばラスキンとか、ウイリヤム・モリス、それから先に言つたカーペンターなどは皆この傾向に属して、近代機械文明を呪つて自然に帰れ、土に帰れ、と教へたのである。トルストイの如きもそれである。ルクリユの如きもそれである。クロポトキンの如きもやはりその系統に属するのである。
かうした思想は今日真実を求むる人々の生活の上に深く喰ひ込むで来て、実際の生活として、若くは生活運動として、力強い発展を示して居る。
今日は無産政党の盛んの時だけれど、私は余りこれに興味を持たなくなつて、何だか隠遁生活じみてゐるやうだが、決して隠遁するつもりではないのである。寧ろ、これからほんとの私の積極的の生活になつて行くと信じて居る、バヴヱルの塔を望んで狂奔してゐたのでは、百年千年待たうとも、落ち着く先は見当らぬ。
底本:「石川三四郎著作集第三巻」青土社
1978(昭和53)年8月10日発行
初出:「読売新聞」
1927(昭和2)年3月21日
※底本は、物を数える際や
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