蒼馬を見たり
序
石川三四郎
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(例)[#地から1字上げ]石川三四郎
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芙美子さん
大空を飛んで行く鳥に足跡などはありません。淋しい姿かも知れないが、私はその一羽の小鳥を訳もなく讃美する。
同じ大空を翔けつて行くやつでも、人間の造つた飛行機は臭い煙を尻尾の様に引いて行く。技巧はどうしても臭気を免れません。
大きくても、小さくても、賑やかでも、淋しくても、自然を行く姿には真実の美がある。魂のビブラシヨンが其儘現はれる。それが人を引きつけます。それが人の心をそそります。
それです。私は芙美子さんの詩にそれを見出して感激してゐるのです。文芸といふものに縁の遠い私は、詩といふものを余り読んだことがありません。その私が、何時でも、貴女の書かれたものに接する度に、貪る様に読みふけるのです。
私は文芸としての貴女の詩を批評する資格はありません。また其様な大それた考を持ち合せて居りません。けれども愛読者の一人として私の感激を書かして頂くのです。
芙美子さん、
貴女はまだ若いのに隨分深
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