館、人々のもの、われわれのものという、入るのに階段のない図書館、威厳もなければ、ゾーッとするようなシメッポさもない。軽い親しい、あかるい機能的な図書館がここに新しく生まれたのである。読むための「機械のような図書館」が二十世紀の理想の図書館である。本は空気圧搾器のチューブで送られ、注文されてから二分乃至七分で、読者の手許に飛び出して来るというのが、アメリカの議会図書館の規格である。そこはもはや「読む工場」ですらあるのである。日本の図書館はまずこの考え方にまで、啓蒙され到達しなければならない。
しかしアメリカはこの「百貨店のような、工場のような図書館」に満足し止まってはいないのである。二十世紀の半ばとなって、ここに第三の段階の新しい図書館の考え方が生まれて来たのである。それは、この「百貨店のような図書館」は只孤立しているのではなく、それは国家を単位とするところの、一大情報網として、その組織を完成すべきであるという考え方が新しく生まれたのである。その情報の中心に、国立の情報中心インフォメーション・センターとしての大図書館があるべきだという考え方がそこに更に生まれたのである。アーチボルド・マ
前へ
次へ
全10ページ中7ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
中井 正一 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング